刺青・秘密 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年8月5日発売)
3.71
  • (366)
  • (410)
  • (697)
  • (45)
  • (7)
本棚登録 : 5358
感想 : 414
4

先日鑑賞した作品に『刺青』が引用されており、「そう言えば谷崎潤一郎は読んだことがなかったな」と手にとってみた。
知識としてどういう作風かは知っていたつもりだったけれども、想像以上に耽美な世界観だった。サディズムとマゾヒズムがふんだんに織り込まれている。情景としてはおぞましいはずの場面も、滑らかな筆致でするすると飲み込まされてしまう。なんというか、ずるい文体だ。個人的には『秘密』が好き。
『異端者の悲しみ』だけはすっきりしない読み心地でもやもやしたが、解説によると自伝的な作品であったとか。そういう見方をすると、確かに受け取る印象は変わってくる。
谷崎潤一郎、女性と母親像とに物凄い思い入れがあることは全編通して強く認識した。他も読んでみるかなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新潮文庫
感想投稿日 : 2023年12月11日
読了日 : 2023年12月11日
本棚登録日 : 2023年12月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする