森鷗外、格調高い文章でとっつきにくいかなと思ってたけどとても読みやすかった。
この一文が圧倒的に好き。
その日は暮方から風が歇んで、空一面を蔽った薄い雲が、月の輪廓をかすませ、ようよう近寄って来る夏の暑さが、両岸の土からも、川床の土からも、靄になって立ち昇るかと思われる夜であった。下京の町を離れて、加茂川を横ぎった頃からは、あたりがひっそりとして、只舳に割かれる水のささやきを聞くのみである。
こんなに短い文章で、財産と安楽死をテーマに盛り込んで印象的な物語に作り上げてるのがすごい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2021年5月27日
- 読了日 : 2021年5月25日
- 本棚登録日 : 2021年5月25日
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