歴史は勉強したはずなのに、それは表面をなぞっただけ、ということを思い知らされる本だ。山本七平の本だからそういう期待ももちろんあった。その期待に答えるものだったことは嬉しい限り。
小さな因果の積み重ねが大きなうねりとなり、歴史が動いていく。これまで勉強してきた歴史は「果」の部分に光を当てて、そういうものだという教え方で出来事のみを並べてきたものだ、と言える。山本七平のアプローチはそうではなく、「因」の方に正しくフォーカスし、それがどう影響したかを紐解いていく。だから新しい学びが多い。勉強というのはこういうことなのだ、と教えられる。幕藩体制下の経済あたりは大変面白い。実体がどうであったかを教えるのが教育なら、歴史だけを切り取って教えるのではなく、歴史の糸の上で経済、文化、思想、技術、生活などを学んでいく手法も良いだろう。全てを含んで歴史が動いていくのだから。そんなことを考えた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2024年2月6日
- 読了日 : 2022年5月22日
- 本棚登録日 : 2023年12月8日
みんなの感想をみる