ローマ人の物語 (11) 終わりの始まり

著者 :
  • 新潮社 (2002年12月11日発売)
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感想 : 35
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久しぶりに読了したこのシリーズ。面白いのは、際立っている。なのに、一巻を読んだのが院生時代だから最初に読んで20年近く、最終巻が出て12年にもなり、かつ全巻本棚に陳列していながら、なかなか読み終えられないのは、それだけ知的負荷が高いからだろう。なんて、一見知的負荷が高そうで実は頭の悪い文章を書いてしまったけど、本の中身はやっぱり面白く、読みながらいろいろ考えてしまう。だから、時間かかんだよね。この本自体、2002年発行の奥付だから20年近く前に出た本なんだけど、今まさに進んでいる事象について、読みながら照らして考えてしまう。まぁ、映画『グラディエーター』は、もはや知る人も少ないかもしんないけどさ。塩野氏のときに辛辣、ときにユーモラス、でも血の通ったところも感じさせてくれる文章はやっぱり良い。
『終わりの始まり』というタイトル自体、決して明るい印象ではないけどさ。最後の文章がまさに、もの悲しくなる。
「死ねば誰でも同じだが、死ぬまでは同じではない、という教示をもってローマを背負った、リーダーたちの時代は終わったのである。
 この後にも、この種の矜持を自らの生き方の支柱にする人は、個々別々には出てくる。だが、彼らが主導権をふるえた時代というならば、確実に終わったのである。」
 俺が生きている時代は、どうなのだろう。そして俺自身は、どちら寄りなのだろう、と思いかけて気づくんだ。
 終わった後、後世の人が考えるなら、どちらかという問いはなりたつかもしれない。でも、いま生きている俺自身は、それを決めるべき側にいるんだよね。結果がどうなるかはわからないにしてもさ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年5月22日
読了日 : 2018年5月22日
本棚登録日 : 2018年5月22日

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