姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (1994年8月31日発売)
3.79
  • (751)
  • (589)
  • (1188)
  • (29)
  • (15)
本棚登録 : 4653
感想 : 644
5

姑獲鳥。

読み方と意味が二つあるそうで、

①「うぶめ」と読むと、日本の妖怪。夜中に赤ん坊を抱いた姿で現れて、通行人にその赤ん坊を抱かせようとする。

②「こかくちょう」と読むと、中国の伝承上の鳥。夜間に飛行し、他人の子を攫って自分の子にしたり、子どもの命を奪ったりする。

そんな話が冒頭の、私(関口巽)とその友人、京極堂の長い議論(問答)の中に盛り込まれる。

これが、私(関口)が持ち込んだ事件(謎)の、実は解説のようになっていたと、冒頭部分を読み返して気付いた。

事件(謎)は2つあって、
•妊娠20ヶ月の妊婦が出産しないまま衰弱
•その夫が密室から失踪

ここから、物語が展開していく。

複雑で緻密で、読み終えて、読み返して、「ああ!」

理解に時間のかかる僕には遅れて、この作品の充足感が込み上げてきた。

京極夏彦さんの小説は、ボリュームたっぷりな上、気味が悪そうなため敬遠してきたが、非常に読みやすい文体だった「アリアドネの声」の井上真偽さんが好きな小説として挙げていたため、読むことにした。

怪奇、心理、因習、伝承•••。

ページ数だけでなく中身もさまざまな要素が盛り込まれ重厚感たっぷり。

満腹感に満たされているので、お腹が空いた頃に、また、京極さんにチャレンジしてみようと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月3日
読了日 : 2023年12月31日
本棚登録日 : 2023年12月31日

みんなの感想をみる

コメント 2件

bmakiさんのコメント
2024/01/03

うんうん、そうなんですよね。
最初はその厚みと、装丁の不気味さに敬遠してしまいがちですが、このシリーズはゲラゲラ笑えるほどに面白いのです!
私は榎木津のファンですが、榎木津が活躍する回では、間違いなく大爆笑されると思います。

次は魍魎の匣でしょうか?
こちらは本当に最高でした。

姑獲鳥の夏、私は2回読んでいるのに、肝心な所をまた失念してしまったようです。。。
3回目も有りだなと思ってます( ̄▽ ̄)

shukawabestさんのコメント
2024/01/04

コメントありがとうございます。
かなり京極さんの小説読まれていますね。
この作品で唯一物足りなさがあったとすれば、榎木津が中途半端だったこと。独特なキャラクターだったのに、なぜもっと活躍しないのだろうと思っていました。後に活躍の場があるなら安心しました。「魍魎の匣」を京極作品の中では次に読んでみようと思います。そして、最終的にはbmakiさんは読まれていますが、僕の京極さんに対するトラウマの元になった、一番分厚い文庫本、「絡新婦の理」、チャレンジできたらいいかなと思っています。
僕も好きな作品は、期間を空けて繰り返し読むので、京極さんの作品から、また読みたいというものが出れば楽しいだろうなと思います。
また、今後も引き続きよろしくお願いします。

ツイートする