これからどう進むべきか。
26歳の落語家・二ツ目の“三つ葉“こと外山達也は、先が見えない毎日を悶々と過ごす。
同じだ。定年後、どうするんだ、オレは・・・。
でも、根本的に違う。
“三つ葉“のように古典を追求する落語家は、江戸や明治に生まれた笑いを、身一つで今の人たちに伝えなければならない。
それがどんなにむずかしいことか、僕自身を振り返ればすぐに分かる。
物心ついてから、ほんの5年前まで落語で笑ったことはなかったではないか。
落語を最初から好きな人もいるが、若い頃は、その楽しさが分からなかった人も多いのではないか。
“三つ葉“の前にどういうわけか、うまく「話す」ことができない人たちが、集まってきた。
従弟の良、小学5年の村林、黒猫を連想させる女性・十河、元プロ野球選手の湯河原。
まったく仲が良くならない4人は落語を教わるため、“三つ葉“の家に不定期に集まるようになる。
こんな集まり、早く終わってしまえばいい・・・と思っていた“三つ葉“は、
いつのまにか、悩みを抱えた彼らに憎まれ口を叩くようになっていた。
なんとかしてやりたいと、勝手に身体が動くようになっていたのだ・・・。
小説全体が人情話のようだった。
読んでいる場面場面で、作品と自分との距離感が少しずつ変わっていく気がした。
マネでもなんでもいい。
本気で惚れたもの、“小三文師匠“、『茶の湯』に突き進めば、光は射してくると感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年11月11日
- 読了日 : 2022年11月11日
- 本棚登録日 : 2022年11月11日
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