ジウ 3 (中公文庫 ほ 17-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (2009年2月1日発売)
3.76
  • (324)
  • (660)
  • (492)
  • (83)
  • (16)
本棚登録 : 4677
感想 : 408
4

北風と太陽。

被疑者に向き合う姿勢・行動が正反対の2人の女性警察官を巧みに描いたハードボイルド。全三巻。

斃すか斃されるかしか考えない伊崎基子と、自分にケガをさせた被疑者の気持ち、経緯さえ共感しようとする門倉美咲。

この2人の心の中の対比が、本編の展開とともに非常に読み応えがあり、楽しかった。

ただ、〝闘争願望”と上司に恋心を抱く〝お花畑”のような相容れない心理が交互に描写されるため、
読んでいて、取り残されそうな気持ちになることもあった。

【冒頭・プロローグのみ】
①第一巻
誘拐事件が発生。何度も身代金の受け渡し場所を変更する犯人。その度に密かに追尾する刑事の人数は減っていく。何度目かの場所で、受け渡し役の母親が見つけたものは••••。

②第二巻
(プロローグ1)
誘拐拉致され、男たちに襲われる少女。そこにもう一人の仲間が入ってきて••••。
(プロローグ2)
社会から隔絶され、同居する数人としか交流がない少年時代。そんな男の手記が唐突に綴られる。

③第三巻
数日前に起きた信用金庫の大爆発。中にいた立てこもり犯人も人質も職員も、近くにいた警察関係者も即死だった。同僚を喪ったその光景をホゾを噛む思いで何度も頭に浮かべる警部補の東。

見どころ、記憶に残る場面はたくさんあるが、〝ハードボイルド”なので、小説として割り切って楽しめる方でないと、オススメできないかな。

実は僕も、第二巻では阪神大震災の後のあの団体を思い出し、
第三巻では「そこまで行ってしまうんかい!」とツッコんでしまったクチ。

でも、構成がしっかりしていたので、読んで良かった。

紹介してくれたツッチー、ありがとう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月10日
読了日 : 2023年8月9日
本棚登録日 : 2023年8月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする