夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2014年9月4日発売)
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本棚登録 : 1688
感想 : 187
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フォロワーさんの本棚、感想に惹かれて手に取りました。堪能できました。ありがとうございました。

①二つの顔
死んだ妻が発見されたとの刑事からの電話。そんなはずは。妻は私が・・・。
②過去からの声
僕はたった2年で尊敬する岩さんと刑事という職業に背を向けた。それは・・・。
③化石の鍵
蝶が飛んでいる、呟こうとした半身不随の少女は声が出なかった。その瞬間、首を締め付けられていたのだ。
④奇妙な依頼
品田に妻の浮気調査をしてきた男。しかし、簡単に尾行はばれて、逆に妻から男の浮気調査を依頼される。
⑤夜よ鼠たちのために
8歳のとき、鼠の「信子」を殺したダボに刃を突き立てたオレは、妻の「信子」を殺したヤツらに再び刃を・・・。
⑥二重生活
「どうして?今夜はゆっくりできるんじゃないの」牧子は16歳年上の修平の背中に声をかけた。
⑦代役
人気俳優の支倉はボロの作業着を纏い、妻を殺すため新幹線に乗った。すべてはあの男のせい。
⑧ベイ・シティに死す
6年の刑期を終え、自分を裏切った女の店に向かう。女と舎弟に復讐するために。
⑨ひらかれた闇
職員室の麻沙に退学した女生徒から電話。ふとよぎる殺人の予感。そして予感は外れない。

メロドラマの印象があって避けていた作家。本書を読みながら「落葉樹」や「絹婚式」を朗読で聴いたが、夫婦の愛憎劇を無意識に嗅ぎ取り敬遠していたかと納得。

小説家というより、読者を欺くことに全てを賭す職人のよう。①〜⑦までの「覆えされ感」が凄い。

40日ぶりの小説と向き合う時間。いい時間でした。ありがとうございました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月11日
読了日 : 2021年12月11日
本棚登録日 : 2021年12月11日

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