ネット技術のみがいびつに発達した帝政ロシア支配下の江戸。ハッカーの町娘おきみは、吉原一の花魁・真理奈太夫から奇妙な依頼を受ける。現皇帝ボリスに暗殺されたはずのドミトリー皇子が秋葉原に潜伏している、その情報を入手してほしいと。公方さまの落胤を自称する真理奈太夫は、ロシア皇后の座を狙っているらしいのだ。そんなる日、おきみは幕府の付け家老・シェイスキー公爵から、偽ドミトリーには関わらないよう警告を受ける。いったいロシア本土では何が起こっているのか?ペテルブルグで音楽修業中の幼馴染み・龍太郎の身を案じるおきみは、仮想空間ペテルブルグで謎の〈赤い星〉到来の噂を聞くのだが・・・。異形のロシアを幻視する最新長編(本書カバーより)
数本分の長編プロットをつぎ込み、二年かけて執筆された本作品。
確かに読み終わった時は「ふー、読んだ読んだ!」と満足感らしきものを感じましたね。
幻想的な、凍てつくロシアの空気も感じられたし。
某クイズ番組を堂々とパロった「シベリア横断ウルトラクイズ」が作品内に出てくるのですが(ちなみに合言葉は「ペレストロイカに行きたいかー!」です)、これが後から驚きのしかけとなっているところも面白かったです(あとガンダム小ネタも笑えました)。
でも後からストーリーを反芻してみると・・・、
なんだかごちゃっとしていたなぁという感想。
タイトルにもある〈赤い星〉についても、謎めかせるまま謎めかせておいて・・・。
その正体(?)に少しがっかりでしたし。
カバーに書かれたあらすじだけ読むと、なかなか面白そうな感じがしたのにな。
内容が複雑なのは別にかまわないんだけれど、ちょっと書きこもうとしすぎかな?
あれもこれもと入れすぎて、かなりこってり風味になっています。
これは好みが分かれそうな作品ですね。
好きな人は好きな話ですが、受け入れられない人もいるんじゃないかしら?
私はね、とにかく真理奈太夫の行きつく先もええ~?だし、龍太郎の行方にもええ~?だったんですよ!(あ、龍太郎の夢云々のラストの書き方は好みでしたが)
他の各キャラの落ち着き先も、いまいち納得いきませんでした。
あと大黒屋光太夫やニジンスキー、エカテリーナや安藤広重と、有名人の名前を綺羅の如く使っていましたが、それが効果的に使われていたかどうか疑問でしたね(特にニジンスキーは出てくる意味あったの??)。
読み易い本を書くという事は、端から作者の念頭にはなかったんでしょうが、読み手を選ぶ作品も、やっぱりどうかと思いましたよ~。
- 感想投稿日 : 2010年10月21日
- 読了日 : 2008年10月22日
- 本棚登録日 : 2010年10月21日
みんなの感想をみる