21twenty one

著者 :
  • 幻冬舎 (2008年6月1日発売)
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本棚登録 : 396
感想 : 82
3

21世紀に、21歳になる、21人。
僕らは、21、21、21。〈twenty one〉だ。

中学の入学式の日、担任から告げられた21の繋がり。卒業後に離れ離れになっても、その絆は変わらなかったはずなのに・・・。
クラスメイトの一人、誰より美しい少年だった晶の突然の自殺。
彼は何を思い、何のために死を選んだのか?
久々に集まるクラスメイトたちは、絆の消失の謎を考え始める。
それぞれの胸にこみ上げる想い。
最後に導き出される答えとは・・・?

ストーリーが始まる前のページに、中学校の名簿が載っているんですよ、この本。
私、けっこうこういうのをじっくり読むのが好きなので(知人と同じ誕生日の子がいるかなぁ、とかね)、この21人の名簿もいつもの通りにじっくり読んじゃったんですよね・・・。
そして、ある事に気が付き・・・。
気が付いたおかげで、自殺した晶の死因の一つになった、ある理由が明るみになった時に「なーんだ」とガッカリしてしまったのです。
ここ、結構この本を楽しむ上での重要なところですから、早々にわかってしまっていると、感動が半減します。
これからお読みになる方は、名簿はじっくり読まない方がいいですよー!
と、注意点を述べておいてっと。

感想としては・・・、
仲間とはなんぞや?生きていくのがつらいなら、死を選ぶのもやむなしなのか?という重いテーマを丁寧に考えさせるストーリーに「おぉ!」と思わされましたね。
クラスメイトのそれぞれの秘密や、それに付随する晶(および他のクラスメイト)への思いなんかがうまく使われていて、ぐいぐいと物語の中に引き込まれてゆきます。
そしてうまい具合に、22人目のクラスメイトになったような錯覚が起ります。
22人目のクラスメイトとして、ともに謎にせまり、悩み、怒り、悲しみ・・・。
そのまま〈21〉の絆を自らのものとして読み進めると、ラスト1行の重みも、深く実感できると思います。
とかく現実世界では、人間関係も希薄になりつつある昨今、ここまでの繋がりは、かえって胡散臭く思える位なのですが、今回のお話は素直に「いいな」と思えましたね。
作中にも出ていたMr.Childrenの『Tomorrow never knows』の歌詞が、読後胸に響き渡りました。
長い旅路の果てに、みなが再び晶に出会えるといいな・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: さ行
感想投稿日 : 2010年10月18日
読了日 : 2008年10月5日
本棚登録日 : 2010年10月18日

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