勤務先の社内報の編集長をまかされたOLの若竹七海は、掲載する小説の執筆を学生時代の先輩に依頼した。
先輩は匿名作家を紹介してくれ、12の短編小説を1年間連載することになった。
1年後、若竹七海は匿名作家にある推理をもって対面するが・・・。
社内誌の連載という形式の、凝った連作短編集。
各短編は”ぼく”という語り手が謎を解いていくというミステリで、どのお話も趣向を凝らしてあり、バラエティに富んだものになっています。
叙述トリックや密室もの、伝奇小説風の小説もあり、サービス精神旺盛に読み手を楽しませてくれ、最後まで飽きさせません。
ひとつのピースとして完結している短編が12編集まると、それがまた大きなひとつのパズルとなり、やがて隠された真相が浮かび上がってくるというアクロバティックな手法が見事に成功しています。
一つの話の中に遊び心が効いていて粋な面もあれば、清も濁もある人の陰影をあぶり出すという奥行きもあり。
複雑な余韻がボディブローのように作用し、癖になりそうです。
リアリティと謎解きのバランスが絶妙で、中々出会えない稀有な作品だと思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年6月17日
- 読了日 : 2018年5月28日
- 本棚登録日 : 2018年5月26日
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