世田谷一家殺人事件 15年目の新事実

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月5日発売)
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本棚登録 : 137
感想 : 16
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2000年12月30日の深夜、世田谷区上祖師谷で家族四人が殺害された未解決事件、いわゆる”世田谷一家殺害事件”について書かれた本。

韓国で軍隊にいた時期もあり、アメリカで特殊な訓練も受けていた、李仁恩(イイヌン)が事件の実行犯であるとして、李の生い立ちや主犯の思惑、事件後の彼らの行動に迫っていく様子は読みながらドキドキした。読み物としてはとても面白いと思う。
しかし、実際に起こった事件を扱う本として、根拠や情報源が曖昧な話をここまで断定的に書いていいのか、という点については疑問がある。家族全員が亡くなっているとはいえ、ご遺族の方もいるわけだし、現在も捜査に当たる警察の人たちの気持ちも考えると、うーん、どうなんだろうという感じだ。裏ルートから出てきた情報や資料を載せてしまうのも、これいいの?と思いながら読んだ。

終盤、日本の暴力団抗争の話と絡めて含みを持たせて、李の行方はわからない、という具合に終わるけど、これだけ盛り上げて結局こんな感じか、とため息をついてしまった。尻すぼみ感は否めない。

年末が近くなると、ニュース番組などでこの事件が特集される。自分もたびたび見ている。おかげでこの家の間取りも覚えてしまっている。家族四人を殺した後、アイスを食べたり、パソコンを操作する犯人の行動は未だに多くが謎だ。
もうすぐ事件から20年。あの日何があったのかがわかる日は来るのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2020年9月25日
読了日 : 2020年9月24日
本棚登録日 : 2020年9月24日

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