世紀末という不吉な言葉で括られるあの頃。
キレる17歳、池袋の通り魔殺人事件、てるくはのる、
新潟少女監禁事件、毒入りカレー事件のその後、
文京区幼女殺人事件、ロボット犬・AIBO……。
1999年から2000年。
いまから少し前、いまと同じように悲惨な殺人事件も起きていたし、
いまと変わらず、新しい発想の玩具が売り出されるたびに話題になっていた。
事件が起きればワイドショーは被害者の心の闇を暴こうと躍起になる。
あの頃よりも電気製品が発展したくらいで、10年ちょっとじゃ何も変わらない。
重松さんの描く、あの頃の日本の時事ネタ。
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あの頃、爆笑問題の『日本原論2000』を憑りつかれたように読んでいたことを思い出した。ニュースのコメンテーターとは違う視点で、時事ネタを繰り広げていく太田さんがかっこよかった。辛口で事件を切っていく姿にしびれたし、憧れた。
時事ネタで戦うのが太田さんなら、時事ネタのなかに寂しさみたいなものを見つけてあげるのが重松さんだと思う。
心の闇、とかそういう安易な言葉で括れる寂しさじゃなくて、思い通りにならない人間関係へのくやしさ、社会と上手に付き合えない自分に対する苛立ちのような、そんな寂しさを重松さんはいつも表現してる。
辛口もかっこいい。寂しさを見つけてあげられるのもかっこいい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
重松清
- 感想投稿日 : 2013年12月4日
- 読了日 : 2013年11月26日
- 本棚登録日 : 2013年11月26日
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