風味絶佳

著者 :
  • 文藝春秋 (2005年5月15日発売)
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本棚登録 : 2005
感想 : 393
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鳶職、ゴミ収集職員、ガスステイション店員、引越業者、汚水槽清掃業者、火葬場職員。
6つの短編に登場する、6つの職業。
身体を動かす男と恋愛、もしくは結婚、あるいは不倫している女たちの話。

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年齢が離れていたり、相手を想う熱量が全然違っていたりして、傍から見ると釣り合っていないような二人でも、本人たちからすればいい具合にバランスが取れていたりする。その逆もまた然り。
色んな関係性がある。外から見ただけじゃ、中の様子はわからない。

『海の庭』の二人の距離感がとても新鮮。
中年になってから初恋の人と再会して、初恋をやりなおす話。人を情けないと思うことと、いとおしいと思うことは似ている。かっこつけずに、情けない部分も受け入れてもらえたらどんなに素敵なことだろう。

『間食』に登場する寺内くんも強烈なので書き記しておく。
死んでしまった同僚は世界中の人を殺したのと同じ、と話す寺内くん。死ぬことは殺すことと一緒なのだ。うーん、哲学。


装丁がキャラメルを模していてイケイケの本だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 山田詠美
感想投稿日 : 2021年5月7日
読了日 : 2021年5月7日
本棚登録日 : 2021年5月7日

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