国際関係がよくわかる宗教の本 1

著者 :
  • 岩崎書店 (2006年3月1日発売)
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感想 : 8
5

ユダヤ教の信者として育てられたイエスの教えがキリスト教徒なり、それら二つの宗教に影響を受けて成立したのがイスラム教。なので、経典や聖地が同じ。三つの宗教は兄弟ともいえる。
しかし、これらの宗教は十字軍派遣やパレスチナ問題で幾度となく衝突を繰り返している。
ヨーロッパで広まったキリスト教は、聖職者たちに権力を持たせてしまった。結果、ローマ法王や聖職者の権威を崇めるカトリックと、それに抗議するプロテスタントに分かれることになる。そして東ヨーロッパでは東方正教会が信仰されていった。

ヨーロッパの国々がアジアに進出する際、キリスト教も同時に伝わっていった。支配する国の事情によって、カトリックだったりプロテスタントだったりして、それらの信仰は現在も受け継がれているものが多い。

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宗教を学ぶときは、歴史と地理を一緒に勉強できる。
キリスト教がどのように生まれ、ユダヤ教やイスラム教とどのように関係し、政治に利用されて分裂したり、他の国を侵略するときに信仰が広まっていく経緯を一気に知ることができた。すごいぜ池上さん。
こういう本をもっと早く読んでいれば、世界史の授業を楽しんで受けられた気がする。

人々に救いを与えるはずの宗教のために、とてつもない人々の命が犠牲になっているんだよな。矛盾を感じざるを得ない。
ヨーロッパの国々のアジア進出、といってもそれは侵略であり、支配なわけであって、対等でないことがほとんどだった。

何のための宗教なのか、ということを考える。
人々の救済や生きるための教えとしての宗教ではなく、政治や軍事行動の正当化のために利用される宗教だとすれば、それほど悲しいものはない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2020年10月17日
読了日 : 2020年10月17日
本棚登録日 : 2020年10月17日

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