最近社外団体でお世話になっている大先輩に、本のオススメありますか?と伺ってみたところ「イタロ・カルヴィーノだね」と。ビジネス実務の交流団体でイタリア文学!と驚かされながらもその場で図書館の予約をした次第です。
「あれは童話だからね」との評のとおり、あらすじをそのまま引用すると「男爵家の長子コジモは十二歳でカタツムリ料理を拒否して木に登り、以来、一生を樹上で暮らすことに。奇想天外にして痛快無比な冒険。」で、なんじゃそりゃ(笑 となる感じですね。
解説を先に読んで、理解の助けを得ながら読了。
確かに、解説にあった「気まぐれとも思われる少年の突飛な決意を支え、それを終生続く意志へと変える禁欲的な潔癖さ」はおとぎ話ならではです。
木の上、という立ち位置で、ずっと地上にいたら見られないものを見て行動することと、同時に遥か高みにいるのではないので人々と交わることの絶妙なバランスが得られていて、我々もたまには木にのぼるべきなのでは?と思ってしまいます(笑
政治的なスタンスは夜警国家でしょうか。著者は脱党した共産党員とのことでなんとなくわかるような…。
「共通の問題がなくなった時には団結はもう前のように良いものではなく、一人きりの人間になり、指導者でなくなるほうがよい」や「革命主義者たちというものは保守主義者よりも形式家だ」というのはまさにそれを裏付けてくれるような記述だなと。
あと、18歳のコジモが父の問いに答えて『わたしに他人より多くの考えがある時、この考えを人が受けいれる限り与えること、これが指揮することと承知しております。』と述べるのはなかなかカッコ良いです。
イタリアらしいなぁと思ったのはコジモの恋愛のくだり。幸福な恋愛よりも、破壊的な激情を優先するようにも感じられたのですが、ここらへんは大先輩に見解を伺ってみようかなと。
色々な違いを読み/感じ取れた、良い読書経験でした!
- 感想投稿日 : 2024年4月29日
- 読了日 : 2024年4月29日
- 本棚登録日 : 2024年4月14日
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