大日本史 (文春新書 1150)

  • 文藝春秋 (2017年12月20日発売)
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読了:2018/3/24

印象に残ったところがたくさんあった。こうして思いつくまま書き並べてみるとやはり日中戦争・太平洋戦争だなぁ。

・昭和天皇の交渉による和平外交の意思を無視し続けた陸軍
・そもそもそこに至るまでの過程、とくに日露戦争後、海軍の重要性を認識できないまま突き進んでいった軍部
・満州事変(柳条湖事件)は関東軍の暴走という一言では説明しきれないこと
・課長級でありながら参謀本部長クラスも電話でコントロールすることができる、それを実現する明晰な頭脳と政治的術策を持っていた永田鉄山
・対照的に杜撰で単細胞な二・二六事件の首謀者が、長期的ビジョンも持たず、科学的合理性も正式な政治的手続きの重要性も認識せず、下克上と強引な政治介入といううわべだけを引き継いでいく
・杉山元の「便所の扉」というあだ名(どちらにでも開く)
・「東条英機は首相の器ではない」
・日独伊同盟を推進した駐ドイツ大使大島浩の「その程度の現状認識力と判断力」、「敗戦という重大な結果に対する責任感の希薄さ」(日本への移送の途上で「日本に戻ったら政治家になるしかないなぁ」→ A級戦犯)
・自分たちで戦争を始めておきながら、敗戦処理は天皇に任せる、最後の最後まで自分たちで責任を取ろうとしない軍部の腐り加減

その他の時代
・「三傑」という言葉がいみじくも示しているように、明治政府のシステムは、初めから薩長を中心とした合議制だった。連合政権だったから、権力機構の半分が外遊し、後の半分が国内統治を進めるという離れ業(岩倉使節団)が可能だった。
・第一次世界大戦は、1931年の百科事典では「日独戦争」とされている。日本にとって世界大戦への参戦という意識は非常に希薄だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書・読み物
感想投稿日 : 2018年3月24日
読了日 : 2018年3月24日
本棚登録日 : 2018年3月24日

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