アメリカで育った中国人作家による、15編のSFを収めた短編集。
『もののあはれ』は以前、別のアンソロジーで読んだことがあったが、これほどまでさまざまな良質な作品を書いているとは知らなかったので、個人的には収穫だった。
作者の生い立ちや経歴を反映していると思われる、人種や国籍、政治的な考え、生と死、機械と人間などさまざまな対立や”はざま”で生じる葛藤を描いているかと思えば、原子レベルから宇宙レベルまでアイデアが縦横無尽に広がっており、現代SFとしては珍しく読みやすく楽しめた。
面白いだけでなく、作品のそこかしこにマイノリティや被迫害者の悲しさが漂っており、読み終わったあと静謐な余韻にひたることもしばしばだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学・評論
- 感想投稿日 : 2015年10月11日
- 読了日 : 2015年10月10日
- 本棚登録日 : 2015年10月11日
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