爪と目

著者 :
  • 新潮社 (2013年7月26日発売)
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「あなた」のすべてを「わたし」は見ている。
不倫相手の妻が亡くなった。
彼の三歳になる娘と、同居をはじめた。
妊娠するのは気乗りがしないので、すでに産んである子供は好都合だった。
無口でおとなしい手のかからない娘との暮らし。
不倫相手は妻を亡くしてから、自分のことを抱けなくなった。そうして彼は、また愛人を作る。
そして自分も古本屋の男を愛人にする。
そんな父や継母を姿を、おとなしい「わたし」はずっと見ていた。いつも爪を噛みながら。
「あなた」のわるい目が、コンタクトレンズ越しに見ている世界。それを、「わたし」の、目とギザギザの爪で正しいものに変えてもいいですか?

怖い!淡々と進むストーリーに、終始語られる「わたし」目線の話。
人間味の無い父と継母も不気味で、後味の悪さも抜群な読後感が私には好みだった。
あの後も継母と暮らしていることが一番怖いかな。

「しょう子さんが忘れていること」
脳梗塞を患い、リハビリ専門の病院に入院しているしょう子さん。
同じ患者の川端くんは、若く優しく皆の人気者。
夜になると彼はしょう子さんのベッドへやってくる。
川端くんの話を嬉しそうに語る、孫娘は独身の37歳。しょう子さんは37歳の頃、すでに子供を得ていたし、37歳の時には最後のセックスを済ませていた。
夜、消灯後にまどろみながら、知らず知らずにセックスについて考えている自分が不快になるしょう子さん。今夜もまた川端くんがやってくる。
彼はしょう子さんの力の入った目尻にくちびるをつける。なぜ、朝にはこのことを忘れるのだろうと思う。しょう子さんの妄想なのか否か。
セックスについて考える自分に嫌悪感を抱きながら、若く溌剌とし、誰にでも優しく接する川端くんに嫉妬しているのか・・?
自分の中に葬ったはずの色情が見せた妄想か・・?
年を重ねても、誰かに身を委ねたいと思うことは自然なことだと私は思いたい。

「ちびっこ広場」
霊に呪われたと泣く息子。
そんなものは嘘だと証明するために、真夜中の広場に行こうと息子の手をとる母。
一番わかりやすい話だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月16日
読了日 : 2021年8月16日
本棚登録日 : 2021年8月16日

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コメント 4件

NORAxxさんのコメント
2021/08/17

奏悟さん、こんばんは。
おぉ、またこんな面白そうな暗黒書物をお読みになったのですね(*´﹃`*)ジュルリ
短編集のようですが、なんだか内容は脂マシマシ豚骨ラーメンレベルに濃ゆそうですね...美味しそうです。
またまた素敵なご本の紹介ありがとうございます(* ´ ˘ ` *)

奏悟さんのコメント
2021/08/17

NORAさん、お久しぶりです。

他の方のレビューの評価は低いですが、戦慄の純文学ホラーだけあって、理解し難い暗黒好きには響くものがありました(笑)

表紙のイラストも魅力的ですよね。
しかし、「爪と目」ラストはきっと「目がぁ~目がぁ~」とムスカ口調となることでしょう(@_@;)

いつも楽しいコメントありがとうございます!

NORAxxさんのコメント
2021/08/17

。。。小休憩中にお返事を読んでいたらムスカら辺で口内の米粒を前方に発射してしまいました...(笑)

もうこれは読まないとですね!
その際は「爪と目」に差し掛かったらおにぎりは自重します( ̄^ ̄ゞビシッ

奏悟さんのコメント
2021/08/17

NORAさん

私は、米粒前方発射に、珈琲を鼻腔内発射致しました・・・
お互い大変でしたね(笑)

NORAさんのレビューも楽しみにしています( 〃▽〃)

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