260ページほどの本で、詩経の詩文そのものではなく、その成立やその後、経学の聖典となったその解釈の過程について説明された本です。いきなり注釈本に入るよりも、まず全体を把握しておくことで、全体を俯瞰的に見ながら学ぶことができると思います。
特に白川先生の場合は、甲骨文字や金文と言った、口承を文字にしていく過程の当初の漢字の起源でも著名な方(異端という話もありますが)ですから、説得力があります。
後世、説話的、徳性の根拠や政治の正当性解釈の根拠として度々引用されてきた詩経の詩ですが、本来民衆の素朴な民間歌謡がその成立の根源であり、その後の解釈は全て本義から外れるという説明はとても腑に落ちます。そういうものですから、詩経の解釈が大変に難しいというのは、間違っていると。
詩経からは、今も昔も変わらない市井の人々の純粋な心の動きを感じ取ることこそが大事だと私も思います。尊敬する広瀬淡窓先生も詩を学ぶことの本義を「淡窓詩話」に記されています。
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- 感想投稿日 : 2018年12月6日
- 読了日 : 2018年12月6日
- 本棚登録日 : 2018年12月6日
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