崩壊する世界 繁栄する日本

著者 :
  • 扶桑社 (2009年3月14日発売)
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本棚登録 : 127
感想 : 18
4

2ちゃんねるで韓国経済について書いたことをきっかけに文壇デビューした、中小企業診断士・三橋さんの本。

本書では、アイスランド、韓国、ロシア、イギリス、ドイツ、スペイン、中国、アメリカそして日本の9カ国の「国家モデル」について明らかにしている。

この「国家モデル」とは、
「その国の経済がいかに「付加価値」を稼いで成長し、「輸入」(輸出ではない)を可能にするのかを示す概念である。」
とある。
なぜ輸入かというと、輸入のほうが輸出より、国民へのベネフィット提供に寄与するからだという。
各国の「国家モデル」の明確化に際しては、各国のGDP、GNI、経常収支、資本収支、国際収支の経年変化という「データの裏づけ」をもって行い、根拠のない「イメージ」に基づいた論調を徹底して批判している。

この本は、かなりバッサバサと各国の「国家モデル」を単純斬り!しているためか、経済の専門家でない私にとってはとてもわかりやすい。
しかし、経験上、他を否定するような形での断言をしながらシンプル化した主張というのは、何か落とし穴があるような感触も持っている。
だから、私自身は、本書に書いてあることを完全には、鵜呑みすることはしないつもりだ。
かといって、否定をするわけでもなくて、今後、「三橋さんの本にはこう書いてあったけど、ほんとうのところはどうなのか?」という視点で積極的に情報を見るようにするつもりだ。

一方、リーマンショック以降、アメリカを中心とした資本主義の雲行きが怪しくなった今、世界が次にどんな方向に進んでいくのか・その中で日本はどんなロール/ポジションになるのか、を見据えておくことはとても大切だと思っている。
書かれている内容が正しいかどうか、と言うこととは関係なく、国家の経済指標から分析を進めていく本書のスタイルは、そういった「今後の世界のゆくえリテラシー」みたいなものを日本人に広めるのに一役買ってくれるのではないか、と感じた。
そういう意味で、日本人に世界の経済のゆくえについて興味を持たせてくれる力を持つ本であり、その意味で意義深い本であるように思う。
だから、ほんとは★5個にしたいのだけど、どうも2ちゃんちっくなブラックな口調が少し苦手なので、★4個にしてみた。

個人的には、ぜひ三橋さんにインドについてもまとめてもらいたいなー、と思ったりした。

読んだ日:2009年9月10日
読んだ場所:東海道線車内

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2009年9月13日
読了日 : 2009年9月13日
本棚登録日 : 2009年9月13日

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