芸人としての又吉さんは好き。
エッセイや歌集も
又吉さんらしさが溢れていて(面白いなぁ)と好んで読んでいた。
ただ、(小説に<らしさ>はいらないかなぁ)と言う気持ちはあった。
未だに図書館では100人以上の予約待ちが続いていて(これは、当分読めそうも無いな~。)と諦めていたら、娘がプレゼントしてくれた。
「お母さん、読みたがっていたから。」
くぅ~!(泣
う、嬉しすぎるぅ~っ。
読む前から感動して開いた「火花」の中に
又吉さんはいなかった。
芸人さんの話ではあったが、登場人物の色が濃かったせいか、又吉さんの気配は皆無であった。
(途中、出てくるネタの中にほんのちょっと感じたくらい?)
お陰で私は、誰が書いたどういう作品という色眼鏡を外す事が出来、心から安心して「火花」の世界感に浸る事が出来た。
漫才師である主人公の徳永は、純粋にお笑いが好きな根っから芸人。でも、義理堅く周囲の人間への気遣いや気持を汲む事も決して欠かさない、常識人的な好青年。
そして彼が出会って惹かれるのが先輩芸人である「神谷」である。
何よりもまず自分の好きな事を最優先にしてしまう、
後先考えず、全てのものをおざなりにしても
「おもろいこと」「人を笑わせる事」に
人生を捧げて生きている男。
バカげているだろうか?この神谷という男。
例えばこの鍵括弧のなかの言葉を変えてみよう。
「おもろいこと」を「微生物を研究すること」
「人を笑わせる事」を「人を救う事」などなどに。
するといきなり「バカ」から「天才」に変るから不思議だ。
心からお笑いを愛する徳永が、神谷の事を心から信頼、尊敬していた気持が痛いほど伝わる。
そして、
ついでと言っちゃなんだが、おそらく又吉さんも…。
読み終えてようやく(あぁ、又吉さんの作品だったなぁ)と思い出したのだから、おそらくず~っと後ろの方からそんな思いで見てたかも。(笑
- 感想投稿日 : 2016年2月2日
- 読了日 : 2016年2月2日
- 本棚登録日 : 2016年2月2日
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