無理ゲー社会 (小学館新書 た 26-2)

著者 :
  • 小学館 (2021年7月29日発売)
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感想 : 189
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中身は経済的・社会的なマクロな側面からの内容だったので、タイトルや序章の雰囲気から思っていた内容とはすこし違ったが、知ってるのと知らないのとでは大きな違いがあると思う。
また中盤アメリカの話が多く登場するが、アメリカのことを言いたいのか、何かと繋げて言いたいのか、世界の奔流として海外の例を出すなら、いくつか他の国にも触れてほしかった。前後関係が?な内容もあったので、様々な調査や研究、意見がトピックス的に書かれている感じかと。気になった内容は引用もあるので掘り下げることができそう。

テクノロジーの急速な進歩によりその変化に私たちがついていけない(生物的にそういう設計になっていない)というのは『スマホ脳』はじめ、他の著書でものべられていて体感もしている。その先に現実となるSFの世界は飛躍していると思いきや導入が始まっていたり、被験者がいたりとの衝撃。
末尾で述べられているスタートレックは、よく考えると社会システムの設定もまさに評価格差社会…理想の社会として描かれていた筈の物語だが、大半の凡人は淘汰されるしかなさそうだと認識させられた。
ただそのスタートレックには、ハイテクノロジーを極めた末にそれを捨て、中世の生活様式に還ることを選択した種族も登場する。平等化の四騎士によってもたらされるならこっちの方がいいなぁなんて思い出していた(そういえばスタートレックの世界のはじめは第三次世界大戦がきっかけ…SFの千里眼は恐ろしい…)

グローバル化、IT化が進んでどんどん開かれた世界になっているはずなのに、反して閉塞感が蔓延する社会。メリトクラシーにおける上級国民に世界の牽引は任せて、冒頭の人達のようにこの無理ゲーからさっさと下りたいと思っている人間の一人だが、本著を読んでますますその思いが強くなった。

内容とは関係ないが「○○(××)」といった書き方の多さと、なぜこれをひらがなで書いた?など、少し読みにくく気になってしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月23日
読了日 : 2021年9月23日
本棚登録日 : 2021年9月5日

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