SFの名手・フレドリック・ブラウンによる、傑作短編集。
いやぁ、フレドリック・ブラウンいいですねぇ。
最初に早川から出ている『さぁ、気ちがいになりなさい』を読んだときは、面白いながらもそのシュールさに「??」となりつつ読んだのだが、冊数を重ねるごとに、この人の凄さがわかってきた。
突飛な発想と軽妙な語り口、それでいてときに笑ってしまうようなオチを、実にスマートに描いてくれている。なんだかんだ言って、根が品のいい人なのだと思う。
ショートショートをひねったような作品から、ミステリタッチのSF、理屈と倫理の狭間を描いたサイコホラー風味のものまで、作品の幅も実に広い。
私的には、「狂った星座」みたいな、とぼけた茶目っ気にあふれる一品も大歓迎。こういうユーモア好きだ(笑)。
それでいて、「1999年」や「さぁ、気ちがいに」のように、「反転する価値観」を描く作品も面白い。
特に「さぁ、気ちがいに」を読んでいる最中は、「正」が「狂」になってしまう様子がどうしようもないのにそのどうしようもなさがリアルで、ぞくぞくしてしまった。
ところで、「さぁ、気ちがいに」の光がまぶしすぎて逆に目が見えなくなるような感覚に、神林長平さんの「忙殺」を思い出した。
読書状況:読み終わった
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じわじわ来ます
- 感想投稿日 : 2011年8月18日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年8月18日
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