最近のサイエンス系の新書は良書が多いですね。
興味のある分野やテーマは、本来なら専門書を当たるべきとは思います。
ただ、サラリーマンをしていると、現実にはなかなか難しい。
その点、新書は手っ取り早く概略を掴めるので重宝しています。
前置きが長くなりました。
本書も道新の「本」欄で紹介されていて気になったので、慌てて図書館に注文しました。
別に慌てる必要はないのだけれど。
早速、本書の肝を紹介したいところですが、その前に備忘録的に人類の進化についておさらい。
人類にはだいたい700万年くらいの歴史があります。
この間、どのように進化したかというと、①初期の猿人②猿人③原人④旧人⑤新人―と5段階で進化してきました。
これを書いている私も、これを読んでいるあなたも、あなたの恋人も等しく新人、ホモ・サピエンスです。
以前は、それぞれの地域で原人が旧人になり、旧人が新人になるという「多地域進化説」も一定の支持を集めました。
ただ、今では、アフリカの旧人から進化して、その後しばらくしてからアフリカを出て全世界に散らばっていったという「アフリカ単一起源説」が人類進化の定説となっています。
ホモ・サピエンスが世界に広がりかけた後に、各地にいた人類は絶滅したのですね。
だが 。
ここからがいよいよ肝ですが、ホモ・サピエンスがアフリカを出た時点では、まだ人類はずっと多様で、各地に旧人も原人もいたのです。
特に、私たちの住むアジアには、多様な人類がいたのですね。
たとえば、ジャワ原人。
しかも、アジアのジャワ原人は、同時代のアフリカのジャワ原人より歯が小さく、進化していたのです。
インドネシア・フローレス島で2003年に発見された「フローレス原人」の化石は世界中に衝撃を与えました。
何と言っても身長は大人でも1メートル余り。
これは「島嶼効果」が働いたそうなのですね。
島嶼効果とは、利用可能なリソースが限られた島嶼環境では、大型動物は代謝が小さく性成熟も早い小型の身体を持った方が有利なため矮小化する一方、小型動物は捕食者が少ないため隠れやすいよう身体を小さく保つ必要がないので大型化しやすいというものです。
他の動物とは一線を画した進化を遂げたホモ属が矮小化するというのは、それまでの定義を覆すものでした。
フローレス原人だけではありません。
2008年には台湾沖の海底から、「澎湖人」と呼ばれる、インドネシアのジャワ原人やフローレス原人、中国の北京原人とは異なる特徴を持つ「第4の原人」の化石が発見されたのです。
アジアにはことほど左様に多様な人類が、ほぼ同時期に存在していたのですね。
アジアはまだまだ未知の世界で、今後も新たな発見があるかもしれません。
ワクワクしながら注目し続けたいと思います。
- 感想投稿日 : 2018年2月24日
- 読了日 : 2018年2月24日
- 本棚登録日 : 2018年2月24日
みんなの感想をみる