収入の5%以上を本代に充てるのが、読書家の条件―。
イギリスの批評家アーノルド・ベネットの名著「文学趣味」(1909)によると、そういうことらしいです。
読書にまつわる74編のエッセーを収めた本書の中の1編「読書のようす」で紹介されています。
荒川洋治さんのファンである自分は、本書をもう3回くらい読んでいますが、特にこの「収入の5%」がずっと頭の隅に引っ掛かり、月末に本代を計算して首を捻るのが習い性となりました。
というのも、この水準をクリアするのは、なかなか至難だからです。
単行本か文庫本かにもよりますが、いずれにしろ10冊前後といったあたりでしょうか。
収入の少ない自分でさえ難しいのですから、収入の多い人にとって「5%」は大変だろうな、と想像して、私は「あっ」と気づきました。
これは「収入が多くなればなるほど本を読みなさい」という寓意なのではないか、と。
要するに、「経済的な水準が高ければ高いほど、知的水準も高めなければならない」ということなのでしょう。
そんなわけで、読むたびに新たな発見があるのが本書の魅力。
荒川さんは詩人だけあって、エッセーで用いられる言葉にはほんのりとした体温が感じられ、身体に染み入ってきます。
ハードカバー269ページで2600円は私には高価ですが、金額をはるかに上回る価値があります。
再読ですが、本書を含めれば、今月は「5%」に到達するかも。
なんて。
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- 感想投稿日 : 2016年5月1日
- 読了日 : 2016年5月1日
- 本棚登録日 : 2016年5月1日
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