破滅の石だたみ

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2008年6月1日発売)
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感想 : 23
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皮膚科で帯状疱疹と診断されて4日目。
痛みはいや増しに増すばかりで、苦悶の日々を送っている。
上半身の左側に終始焼けただれたような疼痛があり、そこへ持ってきて断続的に心臓を鷲掴みにされるような激痛が襲うのだからたまらない。
もしこの痛みを取ると約束してくれるなら、私はこれまでの全ての罪を満天下に告白して懺悔するつもりである。
はっきり言って人間を止めたいほどの痛みである責苦である地獄の業火に焼かれる思いである。
しかも世の中は春の大型連休と言って、ぽかぽかと春めいて何だかすっかりいい気分のところへさして、お上から「仕事もせんで結構。大いに欲望を発散し英気を養え」などとのご下命。
これに気をよくした人民は随意に方々へ出向いて野山で草花を摘んだり美食を頬張るなどして実に愉快に過ごしているが、元来鈍くさい自分はそうして病魔に襲われて狭い和室でひとり悶絶、昏倒しているのである。
いたたた、ほら、これを書いている間にも、もう、何度も、激痛に、襲われて、いる。
読点にその雰囲気の一端が現れているかと思ふ。
前置きが長くなったが、春らしい陽気の中、陽光を浴びて世の中がルンルンしている時に一人病の床に臥せっているというのは、これはもう思い浮かべてもらえば分かると思うが実に陰々滅々たる光景で、実際ただでさえ身体が不調であるのに加えて精神までが衰弱し、気付けば森田童子の「僕たちの失敗」を口ずさんでいたりする。
放っておくと塞ぐ一方なので、少しでも気分を盛り上げようと書斎の本棚から手に取ったのが愛読している本書。
つまり、再読である。
だから、感想は書かない。
でも、一言。
ありがとう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年5月5日
読了日 : 2014年5月5日
本棚登録日 : 2014年5月5日

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