勧善懲悪の復讐劇。
冒頭のエドモンが嵌められるところで、もう腸が煮えくり返っていたということで、この作品の読者を引き込む力は相当なものだと思います。きっとエドモンがなんの汚れもない無垢な好青年として完璧に描かれているからでしょう。
登場人物は多いようだけれど、それぞれ性格がはっきり分けられているのであまり混乱はしません。(とはいっても、私はダングラールとヴィルフォールが中巻まで混ざっていました。まあ名前が似ているからということで)
読者としてはばっさばっさと悪者を血祭にあげて復讐を完遂させることを期待するのですが、途中でエドモンが迷い始めるところで若干イライラします。でも読み終わる頃には、その迷いも含めてエドモンの人の良さというか、悪人ではないという人物設定に救われるはずです。残酷な復讐だけでは、エドモンの魅力が半減してしまうもの。
この頃のフランス文学は因果応報が鉄板のテーマだったのでしょうか。「赤と黒」然り、私の性格に合っているので、この時代に焦点を絞って他も探してみたいと思います。
ということで、非常におもしろい作品でした。不朽の名作、納得。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
フランス
- 感想投稿日 : 2014年12月4日
- 読了日 : 2014年12月4日
- 本棚登録日 : 2014年11月20日
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