時生 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年8月12日発売)
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感想 : 1523
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 息子が不治の病でお別れの間際。という重い始まりであるが、物語のほとんどがアドベンチャー的に進んでゆく。先を読みたくて時間を忘れてしまう物語。終盤、謎が次々と明らかになる。その過程が面白い。

 若かりし頃の自分(拓実)に、謎の人物が登場する。二人で失踪した彼女(千鶴)を探しに旅に出る。大坂で知り合った竹美とジェシーも合流して彼女を探し出そうと足を延ばす。

 職を転々とし、すぐに頭に血が上り暴力をふるう。行き先の見えない彼であったが、彼の本質には輝くものがある。と様々な人達が協力してくれる。世の中は悪いところではない。と思えた。そしてチャンスはどこかにあると希望がわいた。

 息子は短い命ではあったが、拓実にかけがえのないことを沢山教えてくれた。

 短い時間であっても、誰かの人生にかけがえのないものを与えてくれる人は必ずいる。
 自分自身、沢山の人達から少しずつ生きるヒントを与えてきてもらった気がする。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2023年7月〜9月
感想投稿日 : 2023年8月25日
読了日 : 2023年8月25日
本棚登録日 : 2023年8月25日

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