『あれはどこで?』ラスコーリニコフは先へ歩きながら考えた。『どこで読んだんだっけ?なんでも死刑を宣告された男が、死の一時間前に言ったとか、考えたとかいうんだった。もしどこか高い岩壁の上で、それも、やっと二本の足で立てるくらいの狭い場所で、絶望と、大洋と、永遠の闇と、永遠の孤独と、永遠の嵐に囲まれて生きなければならないとしても、そして、その一アルシン四方の場所に一生涯、千年も万年も、永久に立ち続けなければならないとしても、それでも、いま死んでしまうよりは、そうやって生きた方がいい、というんだった。なんとか生きていたい、生きて、生きていたい!どんな生き方でもいいから、生きていたい!……なんという真実だろう!ああ、なんという真実の声だろう!人間は卑劣な存在だ!だが、だからといって、人間を卑劣と呼ぶやつも、やはり卑劣なんだ』一分ほどしてから、彼はこうつけ加えた。
何度読んでも震える、何度でも読む
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- 感想投稿日 : 2020年8月7日
- 読了日 : 2020年8月1日
- 本棚登録日 : 2020年8月1日
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