私が著者の作品で今までに読んでいたのは「早稲女、女、男」と「ランチのアッコちゃん」だけで、それらにはあまり好印象を持っていなかった。
本作を読んで、「この方、急にもの凄く上手くなった!読んだ2作品と全然違う!」と(上から目線で大変申し訳ないが)そんな風に思ったが、どうやら他の方々のレビューを拝見すると、これは「黒柚木」さんというらしい。
またも実家の親ときょうだいに当てはまる小説に出くわしてしまった。
本作は女同士のこじれっぷりやら面倒くささやらの特徴を書いた作品という扱いを受けているし、著者ご本人にすら、どうやらそういう認識しか無さそうである。
しかしこれはどう考えても、ある種の頭のネジがおかしな人間の特徴をよくとらえた作品だと私には思える。
圭子が指摘したり翔子が分析したりした、栄利子の異常な言動や思考回路、本人は全く気付いていないが他者を追い詰める行為などなどが、その種の人のそれに一致するからである。
著者はそのことについてもよく調べたのだろうなあと感心したのだが、巻末の参考文献にその手の物は無かった。
本作では登場人物たちが、自分たちの異常さに(最後になって)気付いているので救いがあるが、本当はこの手の輩は絶対にそんな風に気付いたり改心したりしない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
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- 感想投稿日 : 2016年4月14日
- 読了日 : 2016年4月14日
- 本棚登録日 : 2016年4月14日
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