ヘッセの体験をもとに少年期から神学校や詩人への道のりを社会と照合しながら書いた自伝的小説。洞察が鋭く、各場面における現象や事物に対する科学的で心理的で政治的な意味合いの解説が革命的にうまい。それから、体験に基づいているからゆえの言動や現象のリアリティがもはやフィクションではない。かといってノンフィクションやドキュメンタリや自伝にありがちな押し付けがましい説き伏せもない。あくまでフィクション小説を呈し、尊重しているところに神学を超えた一種の啓示が見受けられる。
ヘルマン・ヘッセの著書は初めてだったが、これはとても良い小説。彼の書籍のなかではかなり初期にあたり、太宰の「晩年」にあたるだろう。だから「人間失格」のように小説家を経たあとにも自伝的小説を書いて欲しかった。
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2009年7月24日
- 本棚登録日 : 2009年7月24日
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