本書は未来ある若者へのエールである
3年で辞めてしまう若者の飽きっぽさ、忍耐力の無さを批判する本では決してない。年功序列の崩壊と若者の搾取の現実を描いている。
要点
・年功序列は、若い時に給料・仕事内容の面で不遇だが、後々になって努力が報われる仕組みである。
・年功序列の仕組みは1990年代以降持続不可能となった(それまでは経済全体が成長していたので可能な仕組みであった)
・1990年代以降は若い世代が将来管理職まで上がれなくなり、ただ搾取されるだけになった。搾取された富は年功序列の維持のために使われる(年配者の給料となる)
・一方、新卒採用数の減少により、就職活動の難易度が上がることで、若者は自分磨きをするようになり、仕事に対して高い意識を持つようになった
・しかし、社風は相変わらず年功序列であり、若者は自分の能力を活かせるような業務は出来ない。理想と現実のギャップを目にすることになる。
・年功序列は既に崩壊しており、今の若い世代はごく一部しか上にあがれない。つまりカバン持ちのような努力は一生報われないことが判明する。
・転職市場の成熟により、3年以内に離職する若者は36.5%(2000年)にまで増加。
・年功序列で上がってきた上の世代は「若いうちは苦労して当たり前」と思っているので社風の改善が起こらない。
・極めつけに、労働組合は実は超年功序列なので、年配の人間の既得権を守る方向にしか動かない。
初版発行が2006年なので、この10年の間に良い方向に動いていたらいいなと思う。
- 感想投稿日 : 2017年10月13日
- 読了日 : 2017年10月13日
- 本棚登録日 : 2017年10月13日
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