女王蜂 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (1973年10月15日発売)
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感想 : 102
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かの有名な推理小説家、横溝正史の金田一耕助シリーズの名作『女王蜂』です。

金田一耕助シリーズの中でも特に名作といわれる作品群は、大抵ほぼ必ずと言っていいほど美女や美少女がメインヒロインとして登場して、事件の渦中に巻き込まれますよね。王道。
この作品ははじめて読みましたが、やはりその王道中の王道な設定でした。

さすがに歴史ある古典的な推理小説(ミステリー)だけあって、謎やトリックはやはり使い古された古典的なものなんだと思います。というか、この横溝正史を始めとする推理小説家たちが、そういった謎やトリックを使ったから、使い古されてきたわけですが。
まあそういうわけで、いつも横溝正史の金田一耕助シリーズを読む時は、あまり推理という部分には重点をおかずに読んでいます。ストーリーテリング重視。

で、肝心のストーリーですが、古い作品ではあるものの、非常に楽しんで読めました。
というか、金田一耕助シリーズの時代設定や背景設定は、いつも個人的に非常に好みなんですよね。この時代を感じさせる古臭さがたまりません。
登場人物たちの豊かなキャラクターも非常に魅力的。
特に、大道寺智子の義理の弟、大道寺文彦や、九十九竜馬のキャラは良い味出してたなぁ。

推理の部分に重点をおかずに読んでいるせいで、最後のどんでん返しにはまんまとひっかかってしまいました。心地よい裏切られ感。参りました。

物語全体を通して、この作品『女王蜂』は、金田一耕助シリーズの中でも特に本格的なトリックがふんだんに使われていた気がします。
おかげで、ラスト以外にも色んなところで騙されまくりました(笑)。

横溝正史の作品はやはり文体が古いので、読み始めるのにちょっと気合のいることが多いんですが、さすがに内容が安定して面白いので、安心して読めるなぁ。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2006年6月24日
本棚登録日 : 2006年6月24日

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