壮大なスケールで構築された小説…ミステリのようでSFのようで幻想小説のようで、不思議で複雑、そしておもしろい!
ユーモアミステリ『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』 とその続編『黄色い水着の謎』を読んだあと、「あれ?クワコーシリーズはもう1冊あったんだ!?」とみつけたのがこの本。このときはクワコーはまだ東大阪にいて、助教授だった。そして、まだそれほどビンボーじゃなかった!お正月には純米大吟醸を奮発したり、足りなくなった酒をコンビニに調達しに行ったりするようなブルジョワ生活を送っていたとは衝撃(笑)どこかでみた著者インタビューによれば、やはりクワコーのことを書くのがとっても楽しくて仕方がなかったとのこと。そしてその後の軽いクワコーシリーズが誕生したわけですね。ぜひ続けていただきたい。
こちらの本の本来の主人公は探偵役の女性ジャズシンガー。「鳥類学者のファンタジア」に出てきたジャズピアニスト、フォギーの仕事仲間だが、独り者だし、世代も同じ、酒好きで食い意地がはってていろいろ身もフタもない感じなど、完全にキャラクターかぶっているが、これは著者の好みか(笑)
奥泉光はこんだけややこしい小説を書き、どっかの大学で教鞭をとり、いとうせいこうと文芸漫談もやり、ジャズフルートをふかせれば素人はだしというから、本当にすごい人であるなぁ。芥川賞の選考委員にも名を連ねていらっしゃいます。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年7月22日
- 読了日 : 2015年7月22日
- 本棚登録日 : 2015年7月22日
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