読み終わったあと、しばらく考え込んでしまった。
話のつくり自体は、一つの殺人事件をめぐっていろんな人の目から語られる…というよくあるものなのだけれど、吉田さんのやや温度の低い筆致や、「どこにでもいそうな」人間描写、最後にぽんと放り投げられた問いが、だからこそ簡単には受け止めきれない印象を残す。
殺人の動機なんて、本人にすらうまく把握できないようなたよりないものなのかもしれないな…どうして私たちは、明確な理由があるはずだと思って断罪しようとしてしまうんだろう。。
個人的にはどんな動機よりも増田くんの
「こういう女が男に殺されるっちゃろな」
という言葉が何よりも心に残ってしまった。
どんな動機よりもはっきりと真理を突いているように思った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2010年3月19日
- 読了日 : 2010年3月19日
- 本棚登録日 : 2010年3月19日
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