機動戦士ガンダムUC バンデシネ (2) (角川コミックス・エース 146-13)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年11月26日発売)
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感想 : 7
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迫り来る戦争の足音……を前にしてカーディアス・ビストを目指すバナージと「姫様」の道中はけれどお出掛け模様のように映ってしまうのは面白い
ここで「姫様」があの映画の看板を見て「オードリー」と名乗った点含め彼女の正体や後々の展開を思えば、このバナージとの短い道行きは本当に尊い時間だったんだろうなぁ……

一方でこういった歩幅を合わせて歩けたシーンが描かれたからこそ、その後に描かれるバナージとオードリーの歩調の違いが明白になってしまう
オードリーはカーディアス・ビストに会ってすぐに政治の話ができる程に調子を変えられた。けれどバナージはオードリーが只者で無いと察しつつも彼女を自分と一緒に歩ける、自分が守れる対象だと調子を変えられなかった
そんなのは子供の論理だからオードリーにすら拒絶される。と言うか、気を遣われる

見るべきものが見えない中でようやく辿り着いた指標から拒まれるバナージの姿は無力としか言いようがない

ただ、力が有れば自分の意志を通せるかと言えば、そうでないのはこの世界の難しさ
カーディアスもジンネマンも状況を動かす力を持つ人物。けれどもっと大きな力、戦争によってその意志は通せない。情勢を変える筈の会談があっさり水の泡と消える様はジンネマンの「人が人を信じるのは本当に難しい」という台詞に集約されているね


そして始まる戦争はコロニーやそこに住む人々を無惨に焼き払っていくと……
教師もガードマンも親も子もパイロットも生徒も誰も彼も為す術なく死に消える様は平和の終わりをこれでもかと訴えているね

その中でバナージが友人を置き去りにしてもオードリーを守ろうとしたのはある意味初志貫徹しているが、それでも彼は無力なまま
そんな彼に渡った宇宙世紀に光明を齎す力。それと彼はどう向き合っていくのだろうね

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2022年6月1日
読了日 : 2022年5月31日
本棚登録日 : 2014年11月8日

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