双子の兄を自殺で亡くし,兄の恋人と微妙な関係を続ける主人公。
彼は女子校の教師として働くことになったが,
そこでは過去の自殺者が秘かに皆の憧れの存在となっていた。
年に何回か誰かが全校生徒に配布する舞姫通信。
兄の恋人がプロデュースした自殺志願を売りにするタレント。
自殺に憧れる若者と自殺を単純に正論で否定する大人との対比。
親友を自殺で亡くした著者が自殺をテーマに描いた作品。
単純な否定ではなく,生と死について淡々と描かれる部分に,
ある意味で答えを突きつけるのではない著者の優しさを感じる。
「なぜ自殺してはいけないのか」との子供の問いに,
自分なりに答えられるように考えておくことが大切かもしれない。
ただ,長編でやや間延びした印象を受けるのが残念。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
重松 清(book)
- 感想投稿日 : 2008年7月24日
- 読了日 : 2008年7月24日
- 本棚登録日 : 2008年7月24日
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