ガダラの豚 3 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1996年5月17日発売)
3.78
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本棚登録 : 2801
感想 : 223
5

バキリのキジーツとして囚われていた、死んでいたはずの娘・志織を救出した大生部一家だが、穏やかな日々は続かなかった。志織を取り戻す為、バキリが東京に現れる。大生部一家を追い詰めるように次々と残虐な形で殺されていくふるみ、清川、ルイ、そしてミラクル。さらにバキリと大生部一家の対決と言う生番組企画が立ち上がり、サブリミナル効果によって志織を除いた大生部一家は視聴者全員に殺意を持たれてしまう……!? テレビ局の迷宮が地獄と化し、満身創痍、絶体絶命万事休すのピンチに覚醒するのは――スリルとホラーとアクションが入り乱れる大長編、ここに完結!

いやー思った以上に早く読んでしまった。と言うかぐいぐい読まされたと言いますか。ページが少なくなっていくのが何とも寂しいというか、もう終わっちゃうのー?って感じでした。ので、久々に☆5をつけるのです。これは文庫三冊で長いけど、面白いもの読みたいって人には読んでもらいたいなあ。人によるかもしれんけどね。
喩えて言うなら「今までTRICKを見ていると思っていたが、いつのまにかSPECになっていた」って感じの第三部。いや、私SPEC見たことないんですけど、ミステリだと思ってたらいつの間にか異能バトルものになってた戯言シリーズみたいな感じで、今まであやふや、いやむしろインチキ寄りだった呪術がこれでもかと襲い掛かってきて、こんなに突然バトルものになっていーんだろーか!って思った。面白いのでいいんですけど。一人一人バキリの手にかかって落ちていくのは正直絶望しか募りませんでしたね……しかもホラーな感じなんですよ、あらすじにも書いたけど。クライマックスに至っても全然勝利のイマジネーションが見えてこないので、これもしかしてバキリの圧勝で終わってしまうんでは……って半ば本気でそう思いかけた。特に隆心和尚が相討ちしたのがバキリじゃなくてキロンゾだったとこ読んだときゃあマジで万事休すだと思ったよ… ほんとに清川もルイもミラクルもばたばた死んで絶望しかなかったよ… これは上田と奈緒子でもお手上げだと思ったさ。てっきりミラクルが何もかも解決してくれるもんだと思ってただけにね。清川は第二部で好印象に変わっただけに退場が惜しかったヽ(;▽;)ノ ルイも好きだったのにー でも道満が無事でよかったー。
最後のテレビ局での死闘はすごすぎた。なんつーか大生部一家が段々クレしんの野原一家に思えてきてクレしん劇場版にありそうなんて思った。そんで志織が記憶取り戻すところ涙ぐんでしまった…だから家族ものは弱いんだよおワタシ。しかも超クライマックスでハラハラドキドキなとこでの記憶復活だし、素晴らしい展開、能力についてのミスリードも最高だった。そう、絶体絶命大ピンチなところでまさかの大生部ですからね…TRICKで言うなら奈緒子の霊能力で何とかするんじゃなくて上田がベストマンに覚醒した感じです(伝わるのか)虫だから映像化した時は目も当てられないと思うけどw テレビ局死闘のオチもね、なんだあってホッとしたわw いやーホント面白かったです。なんで推理作家協会賞なのかは謎だけどw 考えてみればTRICKもこういうのになってたかもわからんね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代小説
感想投稿日 : 2015年2月12日
読了日 : 2015年2月10日
本棚登録日 : 2015年2月12日

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