坊っちゃん (岩波文庫 緑 10-3)

著者 :
  • 岩波書店 (1989年5月1日発売)
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本棚登録 : 1073
感想 : 136
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子どもの頃読んだっきりだったが、この年になって再読してみると、おもしろさが感じられて、ぐいぐい読み進めることができた。
特にイナゴ事件はおもしろい。これは時代を超えた学校っていう舞台で起こる教師と生徒のやりとりだとすると、坊ちゃんの論理と生徒の論理がそれぞれかみ合ってないからおもしろい。団子、天ぷらの話しかり。色が落ちる風呂に持って行く紅のタオルの話もおもしろい。
東京と地方との違いが際立って書かれているのも興味深い。方言の世界がとても豊かに、キャラクターを作り出している。東京ならこうだ、と比べて、考えてしまう坊っちゃんに、同じような理由付けをしたことがあった自分を重ねてしまう。東京に帰ってからは地方の豊かさの方がすごいと思うんだけど。清は最後に少しだけ坊っちゃんと暮らせて良かったなぁ。
便所に落としたお札の話はリアルに臭いが感じられ…(苦笑)。

とにもかくにも、言葉の並び方にリズムがあり、落語を聞いているようなおもしろさがある。比喩も多用されていて、これまたおもしろい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年6月20日
読了日 : 2013年6月20日
本棚登録日 : 2013年6月20日

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