「ほめる」技術

著者 :
  • 日本実業出版社 (2002年6月24日発売)
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本棚登録 : 484
感想 : 68
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■概要
相手の存在を承認すること(acknowledgement)の大切さと、方法について説いた本。
人は元来、生存のために他者と協力する必要があったため、自分が協力関係の内側にいることを確認するために、他者からの承認を求めるものである。
成長を続け、安定した将来が期待できた時代であれば、その承認は長い苦労の末の果実として与えられればよかったが(鬼コーチや軍隊的な会社がうまくいっていた理由)、不安定な現在では、すぐに、目に見える形で与えられる必要があることを述べて、承認や、その方法を学ぶ重要性を説明する。

■印象に残った点
・「あなた」が「私」にどのような良い影響を与えたかを述べるのは、褒められた人に強い印象を残す。
・相手に自分が重視されていると感じさせるには観察が必要。相手がどのようにほめられたいと思っているかを真剣に考える。
・任せることは非常に効果的な承認。ただし、単に丸投げにせず、また、リスクを増大させないためにも、任せられることを見つけるための観察が必要。
・最終的に採用するかはともかく、相手に意見を求めることも、相手の自発性を引き出す。
・気遣う言葉をかける、贈り物をするなど相手に自分の重要さを感じさせることが大切。
・メールにすぐ返信することも重要な承認。時間がかかってしまうと、その程度にしか思われていないと相手に思わせる。
・人のタイプ別の褒め方
コントローラー(リーダータイプ、人から指示されるのが嫌い) ・・・その人の関係者や、その人の成果が出たときにそれを褒める。
プロモーター(企画屋タイプ、イベントなどの先導が得意) ・・・ただ褒める、否定的なことを言わない。
サポーター(人間関係を良くすることに努力するタイプ) ・・・結果だけでなく、プロセスも含めて頻繁に承認する。不満を溜め込ませない。
アナライザー(論理的で傍観的なタイプ) ・・・具体的に褒める。考える時間を与える。
・労を惜しまずに指示や規則の理由を説明する。相手は、自分の個が尊重されていると感じる。
・年上の部下に承認を与えるには、相談を持ちかける、教えてもらうのが良い。

■感想
人のパフォーマンスを向上させるには、相手に、自分が重視されていると感じさせることが大切で、そのためには相手を観察することなどに、実際に時間をかける必要がある。
結局、人は、人が自分のために金、時間、労力などを割いてくれたということに心を動かされるものなのだから。

先日読んだ、アーネスト・シャクルトンの話とも通じると感じた。結局の所、組織のパフォーマンスを最大化出来るリーダーとは、部下の能力を最大限発揮させられるリーダーであり、部下が能力を最大限発揮するためには、リーダーからの承認を感じ、モチベーションが高い状態になる必要があるということだろう。これは、危機的な状況でも、平常時でも変わらない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2011年10月30日
読了日 : 2011年10月30日
本棚登録日 : 2011年10月30日

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