脱力。住み慣れた自宅が別空間になった気分。中盤以降凄かった。ミステリアスな展開と謎解きも面白かったけど、少しずつ生気が抜けていくモノローグは半端なかった。特にジョーが階段を上るくだり。強烈。合間に挟まれるユービックの広告の謎がドラマに混ざってくるところも凄い。これが「ディック感覚」というやつか。タバコが砕けたり、腐ったコーヒーだったりのあの一連の細々とした描写も強烈。それが身に迫ってくる感覚とか読んでるだけで息苦しさがあった。こんなに生々しく苦しい幻想描写は他にあっただろうかとか言いたくなる
コインをいちいち入れないとドアも開けられないガジェットとかは星新一を思い出す。それが単なる背景にすぎないってのがディックの面白いところという感じ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
kindle
- 感想投稿日 : 2024年2月9日
- 読了日 : 2022年3月4日
- 本棚登録日 : 2024年2月9日
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