瀬尾まいこ・重松清系の作品ぽい。
なんとなく手にとって、主人公が『麦ふみクーツェ』を読む描写が気になって、なんとなく借りてきた。
14歳の女子中学生の語り口で始まる、1ページ目は、「微妙な本を借りてきたかなぁ」と思ったが、読み進むにつれて、なんともリアルに14歳を描いているのじゃないかしら、と面白くなってきた。
自分のことを考えてくれる人が、もしかしたらほとんどいなくて、唯一考えてくれる人は全く尊敬できない人で、14年しか生きていない身にはそれがいつまでも続くのか、いつかは変わるのか、だとしたらそれはいつなのか、それさえも分からない。14年分の1日は、十分長い。
大きな悲劇が起こらなくても、楽しみを共有する相手がいないという孤独は、とてもとても哀しい。
中学生にとっての世界は学校と家庭だ。でも実は世界をすこし広げることはできる。孤独は皆そうだということ、尊敬できない大人ばかりじゃないこと、意外と世界は悪いものばかりじゃないこと、それに自ら気付くのは、結構簡単なのに、14歳にはまだすこし困難なのかも。
寂しさを抱えてそれを誰かに言うこともできない子に、寄り添う話。藤谷治さん、知らない作家さんだったが、いいお話を書いてくれる人だと思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説【借り物】
- 感想投稿日 : 2011年7月23日
- 読了日 : 2011年7月23日
- 本棚登録日 : 2011年7月16日
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