ばくりや

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年10月19日発売)
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感想 : 113
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 主人公たちは、自分の持っている特殊な力のことで、かなり悩んでいるところへ「ばくりや」のチラシを見てそのお店を訪ね、能力を他の能力・技能と交換します。
 確かに、悩んでいるところにあのチラシを見たら、藁にもすがる思いになるだろうという気持ちと裏腹に、もっとその能力のことをポジティブに考えたらいいのにとも思いました。悩んでいる側からすると、人の気も知らないでということになるのでしょう。
 「さよなら、ギューション」の編では、異常に泣き虫だった彼がその能力を取り替た後、大切なものを失い涙するシーンが出てきますが、その涙は大切な人を失ったことで泣いているのか、自分のことで泣いているのかとても悩みました。
 「ついてなくもない」と「きりの良いところで」の編では、どうしてそれを「運がいい」と考えることができないのかと思いました。

 考え方を少し変えるといいんじゃない、それに交換後の彼らは本当に幸せかどうか…そう考えるときりがないけど、特殊な力のない凡人からすると、ちょっと贅沢な悩みだと思えました。でも確かに、持って無くてもいいような能力もありましたけどね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 短編小説
感想投稿日 : 2012年4月12日
読了日 : 2011年12月
本棚登録日 : 2012年4月8日

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