ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2019年7月12日発売)
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R3.12.4 読了。

 以前ラジオの「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」で紹介されていて気になって購入しました。
 非行少年たちは学校の授業についていけない、親からの虐待、ストレスをため込みやすい、他者とのコミュニケーションが苦手などの背景があることがわかった。
また、過去に読んだ本の中にも刑務所内には、発達障害や知的障害を持っている者がおり、そうした者たちの再犯率は高いと書かれてあった。
 この本でも少年犯罪の現状や学校教育や矯正施設の課題や取り組み、そしてコグトレ(認知機能強化トレーニング)についても紹介されていた。
犯罪に関しての知らないことを学ぶことができた。
コグトレについても著者の本を読んでみたい。

・「認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断・推論といったいくつかの要素が含まれた知的機能を指します。人には五感(見る、聞く、触れる、匂う、味わう)を通して外部環境から情報を得ます。そして得られた情報を整理し、それを基に計画を立て、実行し、さまざまな結果を作りだしていく過程で必要な能力が認知機能です。つまり認知機能は、受動・能動を問わず、すべての行動の基盤であり、教育・支援を受ける土台でもあるのです。」
・「目標を立てられないと人は努力しなくなります。努力しないとどうなるでしょうか。二つ困ったことが生じます。一つは、努力しないと成功体験や達成感が得られないため、いつまでも自信がもてず、自己評価の低い状態から抜け出せないことです。もう一つは、努力しないと『他人の努力が理解できない』ことです。」
・「悪いことをした子がいたとして、反省させる前に、その子にそもそも何が悪かったのかを理解できる力があるのか、これからどうしたらいいのかを考える力があるのか、を確かめなければなりません。もしその力がないなら、反省させるよりも本人の認知力を向上させることの方が先なのです。」
・「解決案のバリエーションの豊富さと、状況に応じて適切に選択肢を決める『融通を利かせる』力です。頭の柔らかさと言い換えてもいいのかもしれません。」
・「自己の問題や課題を気づかせ、『もっといい自分になりたい』といった気持ちを持たせることが、変化のための大きな動機づけになるのです。」
・「対人スキルがトレーニングできる機会は確実に減ってきました。…(中略)携帯電話がまだ普及していないその昔、相手の家に電話をかけるときには、本人以外の家族が出ることが多くありましたので、それなりに電話をかける時間帯や言葉遣いなどの最低限の礼儀は心得ていなければなりませんでした。」
・「イジメは、その当事者だけでなく新たな被害者を生んでいたのです。」
・「『子どもの心に扉があるとすれば、その取っ手は内側にしかついていない。』まさにその通りだと思います。子どもの心を開くには、子ども自身がハッとする気づきの体験が最も大切。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家名
感想投稿日 : 2021年12月4日
読了日 : 2021年12月4日
本棚登録日 : 2019年11月2日

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