一週間

著者 :
  • 新潮社 (2010年6月1日発売)
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本棚登録 : 303
感想 : 46
4

読んでいて、何度も声を出して笑ってしまった。
私、作者のユーモアにニヤリとすることはあっても、声を出して笑ってしまうということはあまり無いので、この作品はかなり面白い本ということが言えると思う。

日本兵のシベリア抑留が、関東軍上層部の国際法に対する無知や身勝手さによって、捕虜達により一層過酷なものとなり、おそらく生還できたであろう多くの人々を死に至らしめたことは歴史的事実として明らかだが、そのような舞台にこのような面白い話を展開させた作者の力量には感嘆する。悲惨な出来事のなかに面白みを加えることにより、戦争の愚かさや権力の愚かさを際立たせてくれる。

ちょっとラストの場面がもの足り無さを感じはするが、一級の娯楽小説であることは間違いない。

かえすがえすも残念なのは、もう新作が読めないということだ。 

最後に井上ひさし先生のご冥福をお祈りします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2010年11月15日
読了日 : 2010年11月4日
本棚登録日 : 2010年10月26日

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