鈴木敏文の「統計心理学」: 「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2006年3月1日発売)
3.55
  • (12)
  • (29)
  • (50)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 268
感想 : 30
5

天下のセブン&アイグループの総帥、鈴木さんの書籍。
最近、新版が出ていて読みたいなと思ったら、昔のものがあったので読んでみた。

最近のデータ分析ブームで色々な書籍があるけれど、本書はその基本的なところをカバーしている良書だと思う。
特殊なテクニックなどではなく、日々仮説思考を持ってデータと現場に接して試行錯誤を繰り返すという基本に忠実な事例が載っているからだ。
かなり目から鱗のことが多かった。
個人的には、現在の日本の消費者は多様性ではなく、極度の同質性であるという指摘がかなり良かった。やはりさすがである。
自分もそういった独自性を出せるように精進したいものだ。

目次
第1章 鈴木敏文はどのように意思決定しているのか
 1 「客観」と「直観」、二つのカンで発想する
 2 鈴木敏文を見ている「もう一人の鈴木敏文」
 3 発想の根本にある「五つの視点」
  鈴木流独自発想の視点1 変化の流れを時間軸で捉えると、今の時代の動きが分かる
  鈴木流独自発想の視点2 時間軸を輪切りにすると本当のようなウソが見えてくる
  鈴木流独自発想の視点3 時間軸で未来に目を向けると、今の時代の顧客心理が読める
  鈴木流独自発想の視点4 脱経験的思考――過去の「常識」は今の「非常識」
  鈴木流独自発想の視点5 陰陽両面的思考――買い手の「合理」は売り手の「非合理」
 4 天才経営者と凡人ビジネスマンはどこが違うのか

第2章 商売は「経済学」ではなく「心理学」で考えろ
 5 顧客は「経済人」でなく「心で動く人間」である
 6 顧客の心理を読む「琴線と金銭」の商い
 7 鈴木敏文は顧客の心理をこう読む
  鈴木流顧客心理の掴み方1
   「富士山型」発想を捨て「茶筒型」に転換せよ――「昨日のお客」より「明日のお客」
  鈴木流顧客心理の掴み方2
   海辺の店でなぜ、梅おにぎりが大量に売れるのか――「先行情報」と「経験情報」
  鈴木流顧客心理の掴み方3
   あいさつ一つで顧客との距離感を縮める――「無意識」は「無視」と受け取られる
  鈴木流顧客心理の掴み方4
   なぜ、高密度多店舗出店戦略なのか――顧客心理の変化がもたらす「臨界点」
  鈴木流顧客心理の掴み方5
  商品の陳列は顧客の目線で考えろ――「合理的」より「目につきやすさ」

第3章 半歩先を読む鈴木流「統計術」の極意を学ぶ
 8 鈴木流経営学の原点は隠れた大学院時代にあった
 9 なぜ、「現場主義」ではなく「データ主義」なのか
 10 データや情報を読み解く「五つの極意」
  鈴木流統計術の極意1 売り手から買い手へ、視点を変えると別のデータが見える
  鈴木流統計術の極意2 統計データは鵜呑みにするな、その背景や中身を突きつめろ
  鈴木流統計術の極意3 同じデータ、情報でも「分母」を変えると意味が逆転する
  鈴木流統計術の極意4 なぜ、モノが売れないのか、心理抜きには統計は読み切れない
  鈴木流統計術の極意5 仮説・検証で初めてデータが生きる、WHYとWHATの問題意識を常に持つ
  鈴木流統計術の極意中の極意 自分の都合のよいように、数字のつじつま合わせをするな

第4章 鈴木流「場のつくり方」を学ぶ
 11 徹底してダイレクト・コミュニケーションにこだわる
 12 繰り返し伝えることにより基本を「血肉化」させる
 13 共有化のための「場」を大切にする

第5章 現場の社員たちはどのように鈴木流経営学を実践しているか
 14 社員のコミュニケーション能力を重視する
 15 仮説・検証を店舗経営に活かす
 16 自分の仕事で「物語」をつくれるかどうか
 17 顧客の共感を呼ぶ「場」づくりにこそセブン-イレブンの強さがある

おわりに
鈴木敏文氏の金言集

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2014年1月26日
読了日 : 2014年1月26日
本棚登録日 : 2014年1月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする