自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2018年10月17日発売)
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2018年に発行された本書が、ドラマVIVANTの放送で話題になったらしい。ドラマは見ていないが、図書館で借りてみた。

「陸上自衛隊の秘密情報部隊「情報部別班」が、首相や防衛相に知らせずに、独断で海外で情報活動(いわゆる諜報活動)をさせてきた、文民統制を逸脱しており、自衛官は身分を偽装」という記事が2013年11月に共同通信から発信された。そこに至る5年余りの取材活動が記されている。当然、自衛隊などから行動をマークされるだけでなく、命を狙われる可能性もあったという。この本で取材内容などを公表するのは、そういった勢力から見を守る意味もあるらしい。

文民統制の逸脱は、軍部が暴走して戦争に突き進んだ過去を繰り返す懸念、身分の逸脱は、現地での違法行為につながるだけでなく、不測の事態が起きたときに、当人が「トカゲの尻尾切り」となる危険もあると指摘する。情報部の教育は、心理戦防護過程で行われており、旧陸軍の中野学校で行われたスパイ養成の流れを組んでいるという。過酷な教育により、洗脳される、何も感じなくなる、壊れる、など精神をやられる人も多いらしい。

海外での情報活動そのものが悪ではなく、例えば邦人の安全を守るために情報を収集するなど、必要な活動もあると述べられる。しかし、他の国では、基本的には公表された機関により、政治が活動をコントロールして行われているという。諜報活動は対象に身分を偽ってかかわることが多いのではと思うが、別班の場合は、自衛隊のデータベースからも情報が消され、内部でも存在が隠されることが問題だという。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年12月17日
読了日 : 2023年12月12日
本棚登録日 : 2023年12月17日

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