孤独なバッタが群れるとき: サバクトビバッタの相変異と大発生 (フィールドの生物学 9)

  • 東海大学 (2012年11月1日発売)
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感想 : 43

前から気になっていたものの、手を出していなかった本。香君のあとがきで紹介されていたのをきっかけに読んでみた。

なんとも不思議、精巧なバッタの生態。大学を卒業してから10数年間、謎の解明に挑戦する筆者の記録。師匠の指導で成長する姿、先行する研究の検証や反証、自らのアイディアで新たな謎に取り組む姿など、興味深い。著者のミドルネームの秘密も明らかに!

筆者が研究するのはサバクトビバッタ。大移動しながら農作物に壊滅的な被害を及ぼす害虫として知られている。なお、バッタの語源はラテン語の「焼け野原」!大発生のときに襲ってくる黒いバッタは、普段は緑色で、複数のバッタを一つの容器に閉じ込めて飼育すると、黒くなるという研究が1921年に発表された。

隔離されて育った孤独相のバッタは周囲の環境に似た体色を発現するが、多数のバッタとともに育てられた群生相は黒い体色。そして、同じバッタが、環境などの変化により、孤独相と群生相の変化を起こす。顕著な相変化を示すのが、サバクトビバッタとトノサマバッタ。筆者は、この仕組みと謎に取組み続けている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年6月4日
読了日 : 2022年6月4日
本棚登録日 : 2022年6月4日

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