花物語 下 (河出文庫 よ 9-2)

著者 :
  • 河出書房新社 (2009年5月30日発売)
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本棚登録 : 629
感想 : 26
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上巻は青い空へふわふわと飛んでいく、虹色のシャボン玉が儚くはじけるような、淡い初恋に破れた乙女たちの物語という印象でした。でも、この下巻は、まるで王子様への恋心を秘めたまま海の泡となって消えた人魚のような、もっと深く深く沈んでいくような哀しい乙女たちの物語との印象を受けました。
甘く可憐な香りを放ち、可愛らしく色とりどりに咲く花々。けれど、風に吹かれ雨に打たれ、いつかは散ってしまう儚きもの。思うままに生きることが出来なかった、当時の少女たちの秘めたる想いを表すのに、これほど似合う愛おしいものは他にはないだろうと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学:著者や行
感想投稿日 : 2017年12月10日
読了日 : 2017年12月10日
本棚登録日 : 2017年12月10日

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